名誉棄損の法的責任

近年,インターネット上の書き込みで名誉棄損やプライバシー侵害に当たるとされる事例が増えてきています。

一般の方が以前より気軽に情報発信ができるようになる一方で,行きすぎた発言や書き込みが原因で損害賠償請求を受けることもあります。

そこで,名誉棄損で損害賠償請求を受ける要件をみてみましょう。

まず,名誉毀損は,人がその品性,名声,信用等について社会から受ける評価を低下させる行為をいいます。

離婚や懲戒解雇に至った理由を開示する場合なども名誉棄損に当たる可能性があるので注意が必要です。

社会的な評価が低下する内容かどうかは,たとえばインターネット上のウェブサイトの記事であれば,一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断すべきと最高裁判所の判例には書かれているにすぎず,かなりあいまいなものになっています。

しかし,人の社会的評価が低下する書き込み等を全て損害賠償の対象とすれば,一般の方が人を批判する情報発信ができなくなってしまいますから,最高裁判所の判例でも,特定の要件を満たせば,問題のない情報発信とすることができるとしています。

その要件は,①公共の利害に関する事実にかかわること②もっぱら公益を図る目的に出た場合であること③摘示した事実が真実であることが証明されたこと又は摘示した事実を真実であると信じるについて相当の理由があること となっています。

また,名誉棄損は,事実を摘示して行う場合のほか,意見・論評を行う場合もあり,言論の自由への配慮から,事実を摘示して行う場合より,少し緩やかに問題がないものと認められています。

それでも,どの要件も抽象的で,結局裁判官の個性に左右される面もありますから,インターネットに他者に対する批判を書き込む場合は,慎重な判断が求められますので,詳細は弁護士までおたずねください。