1 持ち家を手放しても個人再生を選択するケース
個人再生は、住宅ローンを約束どおり支払うことで持ち家が残り、住宅ローン以外の借金を裁判所を通じて減額してもらうことができます。
自己破産では持ち家は基本的に手放すことになるので、住宅ローンのある自宅を残したい方が個人再生を選択することが多いです。
ただ、個人再生は、持ち家を残したい場合にしか使えないわけではありません。
たとえば、自己破産では解約返戻金20万円以上の保険や時価20万円以上の自動車は、解約したり売却しなければならない可能性もあります。
個人再生では、このような保険や車も残すことができます。
また、借金が増えた主な原因がギャンブルや投資の失敗であれば、自己破産しても免責されず、支払義務が残る可能性がありますが、個人再生ではそういうこともありません。
ですから、住宅ローンのある自宅を手放すケースでも、他に残したい財産がある場合や借金が増えた原因に問題がある場合等に個人再生を選択することはよくあります。
2 住宅ローンの残債務額は、持ち家が売れたときに確定する
持ち家を手放す個人再生の場合、住宅ローンを約束どおり支払う必要はなく、他の債務と同様に5分の1等に減額されます。
個人再生が終わった後に支払う住宅ローンの額は、持ち家が競売又は任意売却で売れるまで決まりません。
たとえは、2000万円の住宅ローンが残っていても、持ち家が売れた代金1200万円を住宅ローンの債権者が受け取ることで、残る住宅ローンは800万円になります。
個人再生が終わった後に払っていく額は、他の債務が5分の1に減っているなら、800万円×1/5=160万円です。
3 個人再生を依頼する方は、将来払っていく住宅ローン分を積み立てておくのがよい
このように、持ち家が売れるまでいくら住宅ローンが残るか決まらない以上、5分の1等に圧縮された他の債務の返済が始まっても、住宅ローン債権者への返済は始まらないと
いうケースがあります。
たとえば2020年1月末日から他の債務を返済する場合、持ち家が売れたのが2020年6月1日なら、おおむね2020年6月中旬頃から住宅ローンの残額を5分
の1に圧縮した額の支払がスタートします。
2020年6月の返済時に、2020年1月から6月に住宅ローン債権者に支払うべき額を一気に支払う必要があるので、まとまった額が必要になります。
うっかり2020年1月から6月に住宅ローン債権者に払うべき金額を他に使ってしまっていると、いざ住宅が売れたときに支払いに困ることになりますので、
住宅ローンのある持ち家を手放す個人再生をする方は、住宅ローン債権者に支払うべき額を毎月プールしておく方がよいでしょう。
個人再生はお住いを管轄する裁判所(名古屋市にお住いの方であれば名古屋家庭裁判所)に申し立てますが、特に住宅ローンのある自宅を手放すケースの返済額の計算は複雑ですので、詳細は弁護士におたずねください。