1 事業をされている方が自己破産する場合は、基本的に事業所の明渡しが必要
個人事業や法人を経営されている方が自己破産する場合で、事業所を賃借しているか自ら所有している場合は、基本的に明け渡す必要があります。
自己破産する場合は、事業所を自ら所有していても、破産手続きでお金にかえることになりますから、事業所が残りません。
また、事業所を賃借している場合も、差し入れている保証金・敷金を現金化しなければならないことや、継続的に賃料が発生すると債務が増えることになりかねないため、
自己破産する際は事業所を明け渡す必要があります。
2 事業所の明渡しを破産管財人に任せることもできるが、費用が高くなりがち
事業をされている方が自己破産する場合は、基本的に破産管財人が裁判所から選任されます。
破産管財人は、破産する方の資産をお金にかえて、債権者に平等に分配する仕事をする弁護士です。
事業所の明渡しは、保証金・敷金を現金化するためにも必要で、破産管財人の業務の範囲内ですから、破産管財人に任せることもできます。
ただ、その場合は、裁判所に納める費用(予納金)が高くなりがちで、多くの裁判所で最低50万円求められます。
賃貸人との交渉に労力を要しますし、原状回復するのにお金がかかる可能性があること等が理由です。
3 事業所の明渡しを自ら行う場合は、中にあるものの処分に注意
そこで、破産管財人が選ばれる前の段階、破産申立てをする前に代表者が自ら賃貸人と話し合って明渡しすることもあります。
この方が、裁判所に納める費用は最低なら20万円で済みますし、賃貸人に破産を知られずに済むケースもあります。
ただ、事業所には、機械類や在庫商品等、お金にかわる可能性があるものが残っているケースも多く、うかつに捨ててしまうと、お金にかえる努力をせずに債権者に損害を与え
たとして、損害賠償を求められたり、代表者が免責されない(借金の支払義務が残る)可能性もあります。
そのため、2社以上の見積もりをとって無価値であることが証明できてから捨てる等、手順を考える必要があります。
また、原状回復に多額のお金や時間がかかる場合、賃貸人と合意ができないと、結局明渡しができないこともあります。
4 事業所の明渡しを自力でするか破産管財人に任せるかは、ケースバイケースで判断が難しいところがあります。
詳しくは、自己破産に詳しい弁護士までおたずねください。