1 司法修習生とは
先日、愛知県弁護士会という私も所属する弁護士の業会団体で、司法修習生向けの倒産実務研修の講師を務めました。
司法修習生は、司法試験に合格して、裁判官、検察官、弁護士になるための研修を受けている方です。
裁判所、検察庁、法律事務所(弁護士)に行って研修を受けるほか、弁護士会が主催する研修を受講することもあります。
私が講師を務めたのは、倒産実務委員会が行っている、破産や個人再生の事例をもとに少人数で議論をするバズセッションです。
2 弁護士になる前に倒産案件を学ぶ機会がない司法修習生も多い
弁護士になると、債務整理は法律相談でよく見かける案件です。
ただ、弁護士になる前は、債務整理などの倒産案件を学ぶ機会は意外と少ないです。
司法試験には、選択科目の中に倒産法(主に破産法と民事再生法)がありますが、必修科目ではないので、選んでいない人の方が多いです。
また、司法試験を受験する前の大学や法科大学院には、倒産法の授業が選択できたでしょうが、選択していない人も多いです。
3 自己破産の事例
従業員が1人いる個人事業主が自己破産する場合に、どの程度の期間がかかるか、裁判所に行く必要があるか、弁護士費用と裁判所に納める予納金をどうやって準備するかなど議
論しました。
従業員の給料が払えない場合は、労働者健康安全機構の未払賃金立替払制度が使えることなど、実務に直結する内容になっていました。
4 個人再生の事例
住宅ローンのある自宅を残したいサラリーマンが、個人再生する場合にいくら返済すればよいか、家計の状況をもとにどのように支出を減らして返済可能な状態にもっていくか
など議論しました。
住宅を残す個人再生では、住宅ローンはそのまま払い続けるので減額されず、他の借金が減額されるのですが、住宅ローンも減額の対象になるという司法修習生の回答が散見さ
れたのが印象的でした。
5 司法修習生を相手に話すことは、改めて私の弁護士としての仕事のスタンスが正しいかや、実務でよく行われていることの法律上の根拠を再確認する意味でも有意義でした。