花押を書いた自筆証書遺言

一般的に使われる遺言には,自筆証書遺言と公正証書遺言の2つがあります。

このうち,自筆証書遺言は,遺言をする方が,全文,日付,氏名を自書し,これに印を押さなければならないと定められています。

押印する代わりに花押を書いた場合,有効な遺言といえるか争われた事例がありました。

最高裁判所平成28年6月3日判決は,押印を要求した趣旨を,重要な文書については作成者が署名したうえその名下に押印することによって文書の作成を完結させるという日本の慣行や法意識に照らして,真意に基づいてその人が文書を作ったことの証としていると述べ,日本で,印鑑の代わりに花押を書くことによって文書を完成させる慣行や法意識が存在するとは認めがたいとして,有効な遺言とはいえないと結論づけました。

自ら作る遺言は,意外なところで有効と認められない危険があります。

遺言書の作成を検討していらっしゃる方は,一度,専門家に形式面でも内容面でも問題がないか確認されることをお勧めします。