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連帯保証人の時効の援用

1 会社の借入の連帯保証人も時効の援用は可能である

最後の借入又は返済から5年以上たつと、時効にかかって借金を返さなくてよくなるというのが消滅時効です。

時効は、援用といって法律上正しく主張しなければ効果が発生しないので、弁護士に依頼して時効の援用をしようという方は少なくありません。

会社の取締役だった方が、会社の借入の連帯保証人であるケースはよくあります。

連帯保証人が時効の援用をすることは可能です。ただ、ご自身で借りた場合と違う独特の注意点があります。

2 主債務と保証債務のどちらの時効の援用も可能である

法律上、借入をしている会社を主債務者、会社の借金を主債務、代表者やご親族が連帯保証しているのを保証債務といいます。

連帯保証人は、主債務の時効の援用もできるし、保証債務の時効の援用もできるのが基本です。

これが生きるのは、たとえば連帯保証人が保証債務について承認すると、保証債務は承認してから5年間は時効にかかりません。

しかし、主債務はそれにかかわらず時効が進むので、最後の借入や返済から5年たてば、連帯保証人が主債務の時効を援用することで借金を払わなくて済むようになる可能性があ

ります。

3 主債務の時効がのびていると、保証債務の時効ものびているケースがある

たとえば主債務者の会社に対して裁判が起こされると、主債務だけでなく保証債務の時効ものびてしまいます(民法457条1項)。

主債務者が敗訴して判決が確定すると、時効の期間は判決確定から10年にのびます。この結果、保証債務の時効も判決確定から10年間にのびてしまいます。

また、主債務者が借金を承認すると、主債務だけでなく保証債務も承認から5年間は時効にかからなくなります

このように、連帯保証人からすると、あずかり知らないところで時効の期間がのびているケースもあるので、注意が必要です。

4 まとめ

保証人が時効の援用をするときは、主債務者に対するアクションによって時効が成立するか変わるケースも多いです。

保証債務の時効を援用するのか、主債務の時効を援用するのかも含めて、弁護士にご相談ください。

会社が破産する場合の経営者保証ガイドラインの特徴

1 経営者保証ガイドラインとは

以前は、会社の代表者は、会社が倒産するときには自己破産するケースが大半でした。会社の代表者は、会社の連帯保証人になっており、保証債務を支払わなければなりませんが、 完済できるだけの資力が残っていないケースが多いためです。

しかし、自己破産すると、信用情報が事故登録されて今後の融資は見込めなくなりますし、自宅やめぼしい資産は手放すことになるため、会社を廃業するハードルが高くなり、代表者の経済的な立ち直りも難しくするという問題がありました。

そこで、金融庁等が銀行や信用金庫などの連帯保証人をとる金融債権者に対して、代表者との話し合いで、一定の資産を残すことを認めつつ債務を免除する基準を設けたのが、経営者保証ガイドラインです。

2 自宅等の資産を残せるケースが多い

経営者保証ガイドラインでは、華美でない自宅を残すことを認めており、住宅ローンのある自宅では、住宅ローンを払い続けて自宅に住み続けることも認めています。

解約して99万円を超える生命保険や99万円以上の預貯金も、自己破産では基本的に残りませんが、経営者保証ガイドラインでは、法人の配当が増えた等一定の場合に残すこ

とを認めています。

3 減額の対象となる全債権者の同意が必要

ただ、経営者保証ガイドラインは、あくまで話し合いなので、1社でも減額に反対する金融機関があれば成立しないのが原則です。

粉飾決算や代表者個人の浪費がある場合、不適切なお金の流れがある場合等は、同意しない確率が高まります。

4 代表者個人の借入や、金融機関以外の保証債務は対象外

また、代表者個人が会社の運転資金に充てるためにカードローンを使ったり、クレジットカードで買い物した分は、保証債務ではないので、経営者保証ガイドラインの対象外で

す。

賃貸借契約の保証人や取引先の保証人になっているものも、ガイドラインは使えません。

これらは基本的に全額支払う必要があるので、金融機関以外の保証や代表者個人の借入が相当額ある場合は、ガイドラインを使うのをあきらめざるをえないのが通常です。

5 このように、経営者保証ガイドラインは使えないケースも多いですが、自宅や目ぼしい資産を残したい場合には、活用する価値があります。

会社の破産では、早期に破産したことで会社の配当が増えたことが、多くの個人資産を残すことにつながりますので、早めに弁護士に相談することが肝心です。

 

事業が続けられるかの見極め

1 事業が続けられるかを見極めるポイント

事業再生にたずさわる弁護士のもとには、何とか事業を続けたいが資金繰りが厳しいという代表者の方が毎月何人も相談に来ます。

事業が続けられるかは、事業形態や権利関係によるところもありますが、弁護士が簡単に見極めるポイントとして使っているものをお伝えします。

2 事業に不可欠な経費の支払いができるだけの現金預金があること

たとえば仕入をして売る業種では、仕入代が払えず仕入ができなければ、事業として成り立ちません。

従業員が店に立ってくれなければできない業種で、給料が払えないなら、事業を続けることはできません。

金融機関への返済額は、弁護士が入って調整することもできますが、事業に不可欠な経費の支払いができなければ、事業は続けられません。

そのため、給料や大きな仕入代の支払日に、支払いに必要なキャッシュ(現金預金)が残っている必要があります。

よく資金繰りの相談に行くと、会社の資金繰り表を作るよう言われるのは、入金が後で支払いが先だと、たとえ黒字でも支払いができなくて事業が続けられないケースがあるからです。

3 返済をしなければ黒字にもっていけるか

赤字であっても、現金預金が残っている限りは事業が続けられるといいます。

ただ、弁護士のところに事業再生の相談に来られる会社は、現金預金が少なくなっており、かつ赤字の会社が多いので、赤字が数カ月続くだけで現金預金がなくなりそうなケー

スが多いです。

すると、赤字から黒字になるプランを数カ月で実行しなければなりません。

どこまで黒字になればよいのかというと、最低限は返済を0と仮定した場合の黒字です。

事業を続ける以上、一旦返済を止めることはできても将来的に返済できる見込みがないと、事業を再生したり借金を減額してもらうことはできません。

4 投じられる個人資産や融資も検討

主には2と3が事業を続けられるかの簡単な目安になりますが、補助的には、現金預金以外に、現金化しやすそうな会社又は代表者個人の資産がないか、代表者個人も含めて融

資を受ける余地がないか検討します。

たとえば解約してお金が返ってくる保険、活用できていない車両の売却等で現金が手に入れば、仕入代や人件費に充てられます。

ただ、借りた直後に資金繰りができなくなって倒産すると、計画倒産とか返済する意思がないのに借りたとして詐欺罪に問われる可能性もありますので、融資は慎重に検討しま

しょう。詳細は事業再生に強い弁護士にご相談ください。

 

遺産分割と破産

1 遺産が残っていれば自己破産でお金にかえなければならない可能性がある

亡くなったお父様の遺産が残っている方が自己破産する場合、遺産はどうなるでしょうか。ここでは、令和6年1月1日にお父様Aが亡くなり、ローンが残っていない自宅の不動産を所有していました。ご存命のお母様をB、破産する方をCとしてみます。

Aの財産は、何もしなければ、Bが2分の1、Cが2分の1ずつ共有していることになります。

Cが自己破産する場合、A名義の不動産の2分の1をお金にかえなければならないのが原則です。

2 破産申立前に遺産分割しても否認権行使の可能性がある

では、Cが自己破産を依頼する前に、Aの遺産を全部Bに相続させるという遺産分割協議をして、B名義で登記した場合はどうでしょうか。

この場合、不動産は形式的にはCの財産ではありません、

しかし、破産の直前に財産を他の人に全部タダであげてしまうのは、財産隠しの一種になり、否認権行使といって裁判所が選んだ破産管財人から取り返されて現金化される可能性もあります。

ただ、これには、遺産分割と単なる贈与を同視すべきではなく、遺産分割協議が民法906条が掲げる事情と無関係に行われ、遺産分割に仮託してされた財産処分であると認めるに足りる特段の事情がある場合にしか無症候否認の対象にならないという裁判例(東京高等裁判所平成27年11月9日判決)もあるところですから、なぜ自分の取り分がなく全部母名義にするのかについて合理的な説明がつくかどうかも重要になります。

3 相続放棄

破産申立てする弁護士としてこの問題を解決するには、Cが相続放棄ができないか検討するでしょう。

相続放棄は一身専属性があり、詐害行為にならないという最高裁判例があるからです。しかし、相続放棄は亡くなったことを知ったときから3ヶ月以内に行わなければならない

のが原則なので、先の例では令和6年4月1日までしか行えない可能性があります。

4 個人再生

破産でなく個人再生の場合も同様の問題が生じますが、個人再生では実際に相続財産を換価するのでなく、清算価値に計上して返済すれば足ります。

つまり、返済額は増えるが、自宅をお金にかえる必要はないということです。そこで、返済能力があるなら、Cが自己破産でなく個人再生を選択することも検討すべきでしょう。

連帯保証人の債務整理について

1 連帯保証人とは

連帯保証人とは、主債務者(実際お金を借りた人)が約束どおり払わない場合に備えて、一緒に支払義務を負う人です。

法人の借入で法人代表者が、奨学金で奨学生の親が保証人になっているケースが多いです。

2 保証の契約書に記名や押印があれば、基本的に支払義務はある

連帯保証人の方には、主債務者が勝手に保証人欄に書いたから払わないと主張する方もいらっしゃいます。

しかし、基本的に保証の契約書に、保証人の名前が書いてあって、印鑑が押してあれば、保証人自身の意思に基づいて保証したと推定されますので、積極的に別人が全く

保証人の了承なく署名・押印したことを立証できなければ、全額の支払義務を負います。

お金を貸す銀行等の債権者も、保証人の意思確認には注意を払っているので、署名・押印したのが別人でも、別人から保証人に話がいって了承をしている、つまり保証人を代理し

て署名・押印したものと認定されるのが通常でしょう。

そのため、書面があるのに保証契約自体を否定するのは、ほとんどのケースで通用しません。

3 分割払いの話し合いがもっともよくある解決

連帯保証人は、主債務者の支払いが遅れている場合、全額一括で支払わなければなりません。

連帯保証人が債権者と分割払いの話し合いをすることは、通常可能なので、一括払いが難しい場合は分割払いで解決するケースが多いです。

一括で支払う額を減らしてもらうという交渉もありますが、利息や遅延損害金はまけてもらえても、元金が減ることはまれです。

4 法人のの借入の保証人は、経営者保証ガイドラインを検討することも

例外的に大幅に保証債務が減る可能性があるのは、経営者保証に関するガイドラインが成立した場合です。

これは、法人の保証債務しか借金がない場合に、全金融機関の同意が得られれば、保証債務が大きく減ります。

ただ、法人が自己破産等の手続きをしていることが条件になる等、使えないケースもありますので、詳細は弁護士にご確認ください。

5 保証人が個人再生や自己破産することもある

分割で支払うのも難しい場合は、保証人自身が自己破産すれば、保証債務を支払わなくてよくなります。

個人再生という、裁判所に申請して、保証債務を5分の1から10分の1程度に減らして、3年から5年分割で支払う方法もあります。

法人代表者の個人再生

1 法人代表者が個人再生を選ぶメリット

個人再生は、裁判所に申請して借金を減額してもらい、3年から5年で返済する手続きです。

法人の代表者は、法人の資金繰りに困った場合、自己破産したり、分割払いの話し合いをされる方が多いです。

しかし、自己破産の場合は、持ち家を手放さなければなりませんし、法人の役員を一旦退任しなければなりません。

分割払いの話し合いで払っていける負債額ならよいのですが、数千万の負債になると、分割払いで払いきるのは困難になります。

個人再生では、裁判所で借金を5分の1や10分の1に減らしてもらえば、役員をやめることなく、自宅も残して借金の負担を軽くすることができます。

2 法人代表者の個人再生の難しさ

ただ、個人再生は、サラリーマンを主な対象とする手続きであり、法人代表者には独特の難しさがあります。

第1に、法人に対する貸金や出資持分の処理の問題です。

個人再生では、少なくとも持っている財産全額分は、返済しなければなりません。

たとえば、1000万円の負債がある法人代表者が、法人に300万円貸し付けており、法人の株式(出資持分)を100万円有していれば、400万円の財産を持っているこ

とになります。

すると、最低400万円を返済しなければなりません。

第2に、法人代表者の収入の不安定さです。

個人再生は、借金を減らせば安定して返済できることが認められる条件です。

役員報酬が約束どおりもらえて、役員報酬から生活費を引いても余剰が出ていれば、安定して返済できるのですが、実際は役員報酬がもらえていないケースが多々あります。

収入が安定しないと、借金を減らしても返済できないと判断されて、手続きが認められない可能性があります。

3 まとめ

法人代表者の個人再生は、事業を続けながら借金を減額できる有効な手続きですが、経験豊富な弁護士でなければ、返済額がほとんど減らなかったり、手続きが認められない可

能性が十分あります。法人の債務整理や法人代表者の個人再生に詳しい弁護士に十分相談して方針を決めるのがよいでしょう。

 

中小企業活性化協議会を使った債務整理

1 中小企業活性化協議会(旧中小企業再生支援協議会)とは

先日、企業様が中小企業活性化協議会の窓口相談に行くのに同行してきました。

中小企業活性化協議会とは、国が都道府県ごとに設置した中小企業の資金繰りを支援する機関です。多くの件で商工会議所の中に設置されています。

資金繰りに困っている企業が、自社の課題を客観的に分析したり収益改善のための計画を立てる収益力改善支援、事業計画や金融支援を行う事業再生支援、企業の再生が困難に

なった場合でも代表者や保証人が保証債務の整理を必要になった場合の再チャレンジ支援などの支援事業があります。

弁護士がよく利用するのは、事業再生支援と再チャレンジ支援であり、公正中立な機関として債権者との話し合いの中を取り持ってもらうことがあります。

2 中小企業活性化協議会を通すメリット

⑴ 初回相談は無料

いずれの事業も、初回の窓口相談は無料となっていますので、気軽に相談に行けます。

ただ、1回の相談の機会の実を上げるため、弁護士が同席したり資料を作成する等のお手伝いをすることもあります。

⑵ 債権者との交渉がまとまりやすい

中小企業活性化協議会のスタッフは、金融機関のOB、公認会計士、弁護士などが多いです。金融機関からすると、金融機関の考え方がよく分かっているOBがおり、交渉成立の

実績も多いため、返済額を減らす稟議も通しやすくなります。

⑶ 認定経営革新等支援機関が経営改善計画を策定する場合に一部費用の補助が出る

国が認定する経営改善計画の作成のプロである認定経営革新等支援機関が、このように今後の売上を増やして経費を減らしていくという経営改善計画を作る際に、企業が認定

機関に払う費用が一部公費でまかなわれるメリットがあります。当グループの税理士法人心も認定機関になっています。

3 デメリット

⑴ 本格的な支援には費用がかかる

借金額を減らしてもらう等本格的に支援を受ける場合、中立な立場の公認会計士等の関与がいるのが通常で、専門家に払う費用が高額になりがちです。

⑵ 債権カットでなくリスケジュールで終わることが多い

大幅に元金を減らしてもらう話し合いは、近年成立例も増えているものの、リスケジュールという元金はそのままで毎月の返済額を減らすだけで本当に資金繰りができないの

かが厳しくみられる傾向になります。結果的に元金が減らないままというケースが多くなります。

⑶ あくまで話し合いなので、債権者の金融機関が同意しなければ不成立で終了することになります。

4 このようにデメリットもありますが、話し合いで企業の金融機関からの借入の元金を大きく減らすには、最も実績がある機関になります。

小規模な企業でも成立例があるので、事業の再生の相談を受ける弁護士としては、まず初回相談の同行をお勧めするケースも多いです。

破産管財人との面談

1 破産管財人との面談が必要な場合

自己破産する際、破産管財人という依頼する弁護士とは別の弁護士が裁判所

から選ばれ、自己破産する方が面談に行かなければならないことがあります。

自己破産には、同時廃止と管財事件と2種類あります。

財産もなく、借金が増えた経緯にも問題がなければ同時廃止となり、破産管財人は選任されません。

20万円以上の財産があるとか、借金が増えた経緯に問題がある場合が、管財事件という破産管財人が選ばれるケースになります。

破産管財人が選ばれると、自己破産する方は面談に行く必要があります。

2 破産管財人との面談の流れ

まず、依頼した弁護士(申立代理人といいます。)を通じて、管財人の弁護

士と面談の日時を決めます。

持ち物は、管財人から指示があればそれに従いますが、一般的には最新記帳

した通帳、最新の家計の状況、車を所有している方は車の鍵、不動産をお持ち

の方は権利証等です。

面談の場所は、破産管財人の弁護士の事務所が多く、おおむね1~2

時間程度です。

面談は、初回は依頼した弁護士と一緒に行き、2回目以降は自己破産する方

だけで行くことが多いです。

管財人は、財産をお金にかえたり免責(借金をチャラにする)してよいか裁判所に意見を述べる立場なので、財産をお金にかえるのに必要な質問や、免責してよいか疑問に思う点を質問し、自己破産する方や依頼した弁護士がこれに回答します。。

当日回答できなかったことや、提出するよう指示されたことは、後日回答し

たり提出できるよう準備します。

また、管財人がつくケースは、自己破産する方宛ての郵便物が管財人に転送

されるので、郵便の受取方法を決めます。

3 管財人面談での対応

自己破産で免責を受ける(借金をチャラにしてもらう)ためには、管財人に求められた質問に回答したり資料を提出することが条件になります。

そのため、基本的に質問には正直に答え、資料の提出には素直に従うのですが、どうしても難しい場合は、一人で悩まず依頼した弁護士(申立代理人)に相談しましょう。

 

 

債務整理をしても自宅が残るか

1 債務整理の種類によって自宅がどうなるかは変わる

借金の支払いに困った方が債務整理を検討するうえで、お住まい(自宅)がどうなるかは、今後の生活の立て直しに非常に重要です。

自宅がどうなるかは、債務整理の種類によって変わります。

債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産の大きく3つがあります。

任意整理は、お金を貸した業者と弁護士が、分割払いの話し合いをすることです。

個人再生は、裁判所に申請して借金を減額してもらう手続きです。

自己破産は、裁判所に申請して借金を基本的に0にしてもらう手続きです。

 

2 ご親族の所有又は第三者が借りている自宅であれば、どの方法でも今の自宅に住んでいられる

自宅は、大きく分けると、①親族所有の家(父の持ち家等)②第三者が借りている家(社宅や配偶者が借りている家)③ご本人が借りている家④ご本人が一部でも所有している家 の大きく4つに分かれます。

このうち、①と②は、債務整理のどの手続きをしても、今の自宅に住み続けることができます。

債務整理で最も自宅への影響が大きい自己破産でも、ご本人の財産がとられるだけで、保証人でない親や配偶者の財産をとるわけではないからです。

 

3 ご本人が借りている物件は、賃料を滞納していなければ住み続けられる

③のご本人が借りている物件も、基本的に今の自宅に住み続けることができます。

自己破産したことを理由に賃貸借契約を解除することは禁じられているからです。

ただ、賃料を滞納していると、債務整理をしたからではなく、滞納していることを理由に、賃貸人が退去を求めることもありますので、要注意です。

 

4 ご本人が所有している自宅は、自己破産では残らず、他の2つでは原則残る

ご本人が所有している自宅は、自己破産の場合は手放すのが原則です。

自己破産は、目ぼしい財産をお金にかえて債権者に分ける手続きだからです。

個人再生は、住宅ローンを約束どおり払うことで、自宅を残す道を開いています。

ただまれに要件を満たさない方がいるので、詳細は弁護士におたずねください。

任意整理は、基本的に住宅ローンの債権者を対象にしませんし、自己所有の場合も収入から返済できれば、自宅は残ります。

以上

任意整理と裁判

1 裁判を起こされても任意整理はできる

支払いが遅れて、消費者金融等の債権者から裁判を起こされたのをきっかけに、債務整理の相談に来られる方は大勢いらっしゃいます。

いきなり日が決められて、遠方の裁判所に行かなければならない・・

一括では払えないから、自己破産するしかないのではないか・・

様々な不安を抱えた方が来所されています。

しかし、裁判を起こされても、任意整理ができないわけではありません。

2 2ヶ月程度で話し合いをまとめる必要がある

消費者金融等が、払えていないお金の支払いを求める裁判は、証拠を残していないことはほぼありませんので、最終的には消費者金融等が勝訴する可能性が高いです。

消費者金融等は、勝訴すると、給料や預貯金を差し押さえて、強制的に取り立てることができるようになります。

そのため、任意整理で交渉する場合の消費者金融の立場は、裁判を起こす前よ

り強くなっています。

また、この種の裁判は、弁護士が受けても、2回目の期日には、結審となる可能性が十分あり、裁判を起こされてから2カ月程度の間に話合いをまとめ、あまり間を開けずにその債権者に対して支払いを始める必要があります。

それでも、弁護士に依頼すれば、遠方の裁判所まで行かずとも、話合いがまとまるケースが少なくありません。

3 裁判を起こされた場合は、お早めに弁護士に相談を

裁判を起こされて、相談するか迷っているうちに判決が出て、いきなり給料の差押等を受ける可能性もあります。

裁判所からの書類が届いた場合は、お早めに弁護士にご相談ください。