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管財人は敵か

破産の申立てをして管財人がついたとき,依頼者さんから,管財人がどういう立場なのか質問を受けることがよくあります。

管財人は,破産法の建前上は,公平中立な第三者的立場です。

管財人は,裁判所が選び,債務者(破産する依頼者さん)と債権者(お金を貸した業者等)の利害を調整して適切に財産を分配し,財産を分配しても残っている借金を免除してよいか(「免責」といいます。)どうかに関しても意見を述べます。

ただ,依頼した弁護士は,依頼者さんの味方で,原則として依頼者さんの利益を代弁しますが,債権者の利益を代弁する人は,管財人以外にいないこともあるので,依頼者さんからすると,管財人は対立相手のように感じることもあるでしょう。

その考え方は,必ずしも間違いとはいえませんが,多くの場合,管財人は,正直に資料を提出して破産手続に協力した破産者には,免責しよう,借金をなくして立ち直りの機会を与えようと考えているものです。

破産する方が管財人に求められた資料を提出したり説明するのは,破産法の定める義務ですし,特に浪費が問題になっている場合等は,管財人の指示に従って協力することが,借金をなくして立ち直るために役立つことが多いです。

とはいえ,財産を残すことを希望しているが管財人が認めない場合や,一部の債権者にだけ返した行為が問題になっている場合は,管財人と違う見解を持つこともあるので,依頼した弁護士に気軽にご相談ください。

 

破産管財人の立ち位置

自己破産で財産が一定額以上あるときや債務が増えた経緯が良くない場合,破産管財人が裁判所から選ばれる管財事件になることがあります。

裁判所が,案件ごとに弁護士に対して管財人への就任を打診し,弁護士が裁判所にある記録を見に行って,その案件の管財人を引き受けるかどうか決めます。

裁判所は,弁護士ごとに管財人になった際の事件処理の仕方を管理しており,事件の難易度に応じて就任を打診する弁護士を決めていると言われています。

そこで,管財人になる弁護士は,次の管財事件でも裁判所に選んでもらえるよう,裁判所の意向に沿って活動する傾向が見られます。

私も管財人を引き受ける際は,裁判所と相談しながら事件を進めます。

逆に,私が依頼者さんを代理して破産の申立てをする側の場合,管財人の弁護士を味方につければうまく裁判所を説得してくれるケースもありますし,管財人の考え方が依頼者さんと食い違って対立するケースもあります。

管財人との関係の持ち方は,案件の解決に大きな差をもたらすこともあるので,過去の経験も踏まえて慎重に対応するようにしています。