会社や個人事業主が,事業性の借入金等を債務整理するとき,法律に基づいて半ば強制的に債務を減額するか,債権者との話合いを通じて債務整理をするかで大きく2つに分かれます。
前者を法的整理と言い,自己破産や民事再生(個人事業主では個人再生が一般的です。)がこれにあたります。
後者は私的整理と言い,債権者と相対で話合いをするものもありますし,第三者的な立場の機関に関与してもらって話合いをする場合もあります。
法的整理の場合,原則として全ての債権者を対象に減額してもらわなければならないため,取引先に対する支払いも約束どおりできなくなることが多く,一般に知れ渡ることが多いため,信用が傷ついて事業を続けていくのに支障が出ることもあります。
私的整理では,金融機関だけを相手にすることが多く,取引先や下請を保護したり,一般に知られずにできることも珍しくありません。
一方,私的整理では,原則として対象となる全ての債権者が同意しない限り債務の支払条件を変えられないため,一人でも反対する債権者がいれば,債務整理ができないことになります。
また,私的整理では,話合いに時間がかかるうちも最低限利息だけは支払い続けなければならないことが多く,途中で資金繰りがつかなくなれば,事業が成り立たなくなってしまいます。
そこで,会社や個人事業主の債務整理の相談を受けた弁護士は,事業継続の意思,債権者の顔ぶれ,資金繰り等を考慮して,法的整理か私的整理か決めるためのアドバイスをさしあげることになります。