1 任意売却と競売
自己破産等の債務整理に伴って自宅を手放す場合に,任意売却と競売のどちらを選ぶのがよいかという質問をよくいただきます。
任意売却は,自ら不動産業者を選んで不動産を売りに出すことです。
競売は,債権者が裁判所を通じて強制的に不動産を売ることです。
2 任意売却のメリット
任意売却は,競売より高値で売れるため,連帯保証人がいる場合等は少しでも残る債務が少なくなるメリットがあります。
また,協力してくれた対価として,債権者や買主との話し合いで,引越協力金等の名目のお金をもらえることがあります。
競売はBITと呼ばれるインターネット上のサイトに情報がのるため,近隣住民等に借金が払えずに競売になったことが知れる可能性が十分あるのに対して,
任意売却の場合は,近隣住民等には普通に不動産を売り出しているだけに見えるので,借金のことが知れる可能性が低くなります。
3 競売のメリット
任意売却では,不動産業者とのやりとりや,購入を検討される方が家の中を見に来るのに立ち会う等の手間がかかるのに対して,競売は,債権者が手続きを進めるので,裁判所の職
員が1回自宅を見に来るのに立ち会う以外は,ほとんど手続きの手間がかかりません。
また,任意売却は,自分で売り出している以上,不要な家具等を置いていくことことはできず,廃棄物処理業者に頼んで処分しなければならないことも多いですが,
競売の場合は,放置しておいても買主が処分してくれることが多いといえます。
4 まとめ
このように,任意売却と競売にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
ちょうど,任意売却のメリットが競売のデメリットになり,競売のメリットが任意売却のデメリットになるという関係です。
私に依頼いただいて任意売却を検討される方には,任意売却の経験豊富な不動産業者をご紹介することもできます。
任意売却は,通常の不動産売買と異なり,債権者との交渉も必要になります。
たとえば,住宅ローンが1000万円残っている不動産で,売っても600万円程度しかならない場合,住宅ローンの債権者は,完済できていないため抵当権を抹消できないはず
ですが,これ以上では売れないこと等を理解してもらって,交渉により抵当権を外してもらう必要があるのです。
このように,不動産業者の中でも任意売却の経験豊富な業者を選ばなければ,任意売却もうまくいきません。
詳細は,弁護士におたずねください。