1 事業が続けられるかを見極めるポイント
事業再生にたずさわる弁護士のもとには、何とか事業を続けたいが資金繰りが厳しいという代表者の方が毎月何人も相談に来ます。
事業が続けられるかは、事業形態や権利関係によるところもありますが、弁護士が簡単に見極めるポイントとして使っているものをお伝えします。
2 事業に不可欠な経費の支払いができるだけの現金預金があること
たとえば仕入をして売る業種では、仕入代が払えず仕入ができなければ、事業として成り立ちません。
従業員が店に立ってくれなければできない業種で、給料が払えないなら、事業を続けることはできません。
金融機関への返済額は、弁護士が入って調整することもできますが、事業に不可欠な経費の支払いができなければ、事業は続けられません。
そのため、給料や大きな仕入代の支払日に、支払いに必要なキャッシュ(現金預金)が残っている必要があります。
よく資金繰りの相談に行くと、会社の資金繰り表を作るよう言われるのは、入金が後で支払いが先だと、たとえ黒字でも支払いができなくて事業が続けられないケースがあるからです。
3 返済をしなければ黒字にもっていけるか
赤字であっても、現金預金が残っている限りは事業が続けられるといいます。
ただ、弁護士のところに事業再生の相談に来られる会社は、現金預金が少なくなっており、かつ赤字の会社が多いので、赤字が数カ月続くだけで現金預金がなくなりそうなケー
スが多いです。
すると、赤字から黒字になるプランを数カ月で実行しなければなりません。
どこまで黒字になればよいのかというと、最低限は返済を0と仮定した場合の黒字です。
事業を続ける以上、一旦返済を止めることはできても将来的に返済できる見込みがないと、事業を再生したり借金を減額してもらうことはできません。
4 投じられる個人資産や融資も検討
主には2と3が事業を続けられるかの簡単な目安になりますが、補助的には、現金預金以外に、現金化しやすそうな会社又は代表者個人の資産がないか、代表者個人も含めて融
資を受ける余地がないか検討します。
たとえば解約してお金が返ってくる保険、活用できていない車両の売却等で現金が手に入れば、仕入代や人件費に充てられます。
ただ、借りた直後に資金繰りができなくなって倒産すると、計画倒産とか返済する意思がないのに借りたとして詐欺罪に問われる可能性もありますので、融資は慎重に検討しま
しょう。詳細は事業再生に強い弁護士にご相談ください。