月別アーカイブ: 2024年 10月

個人の通常民事再生

1 債務額が5000万円を超えると個人再生は選択できない

個人の方が自宅を残したり事業を継続して借金の負担を減らしたいとき、任意整理(分割払いの話し合い)で払い切れなれなければ個人再生を選択することが多いでしょう。

ただ、個人再生は、債務額が5000万円(計算方法は細かいので詳細は弁護士までおたずねください。)を超えると選択できません。

保証債務の額が大きい方や個人事業主の場合、5000万円を上回る負債があるケースもまれではありません。

この場合、個人再生ではなく通常民事再生という手続きで、裁判所を通じて借金を減額することを検討します。

2 通常民事再生と個人再生の違い

⑴ 借金の減る額

個人再生が負債額に応じて10~20%まで借金が減らないと決まっているのに対して、通常民事再生では清算価値(持っている財産の時価)まで減額するこ

とができます。たとえば負債額が6000万円で清算価値が300万円の場合、うまくいけば借金が300万円まで減額でき、5%しか借金を払わなくてよいことになります。

⑵ 裁判所に払う費用

通常民事再生は、監督委員や調査委員といった第三者的立場の弁護士が必ず選任される運用になっており、予納金(裁判所に支払う費用)は個人再生が2万5000円~

25万円程度なのに対し、通常民事再生は30万~100万程度と高額になっています。

⑶ 債権者の賛成の数え方

基本的に個人再生も通常民事再生も債権者の過半数の賛成が必要ですが、賛成とも反対とも意思を示さなかった場合、個人再生では賛成したものとみなしますが、通常民事再

生では反対したものとみなされます。

これにより、債権者が積極的に賛成に回ってくれないと通常民事再生は成功しません。

3 まとめ

近年通常民事再生の件数は、2⑵の予納金が高いこともあって減少傾向にあります。

その分通常民事再生の経験がある弁護士は少なくなり、個人再生より複雑であることから、専門性が求められる状態になっています。

負債額が5000万円を超えるが、事業を続けたり資産を残したい方は、通常民事再生に詳しい弁護士にご相談ください。