1月

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

1月は多くの事務所で新しい弁護士が入所する月です。

弁護士になるための試験の合格発表が12月中頃にあるためです。

当事務所も多くの弁護士が入所しました。

私も最初に入所したときのことを思い出すと,弁護士になってやりたい多くの夢や目標を持っていました。

未だ一部しか実現できていませんが,私に既にご依頼いただいている皆さまのお役に立てるよう,精進してまいります。

 

少年事件の記録の閲覧の制限

非行をした少年の弁護を引き受けると,弁護士は,家庭裁判所に事件の記録を読みに行きます。

事件の記録には,少年が犯したとされる非行の証拠や,家庭環境等について裁判所が調査した結果も載っており,少年の弁護をするうえで非常に重要です。

平成28年12月1日から,少年審判規則の改正により,記録の閲覧に制限が加わることになりました。

閲覧させることにより,人の身体や財産に害を加えたり,又は人を畏怖させたり困惑させたりする行為や人の名誉や社会生活の平穏を著しく害する行為がなされるおそれがある事項が記載・記録されている部分があると認められるとき,裁判所は付添人(弁護士等)に対し,少年若しくは保護者に知らせてはならない旨の条件を付すこと,又は少年若しくは保護者に知らせる時期若しくは方法を指定したり,記録の閲覧を禁ずることができるようになりました(少年審判規則7条3項,4項)。

最高裁判所によると,この改正の趣旨は,事件関係者が,自分の氏名や住所が少年や保護者に特定されて,生命・身体の安全が脅かされるかもしれないという不安を抱き,裁判所の手続きや捜査への協力を拒否する事例がありえたことから,関係者がより安心して情報を提供することができるようにしたとのことです。

たしかに,関係者がより安心して情報を提供できるようにする必要がないとはいえませんが,一方で,弁護士が記録を閲覧できないと,少年が非行をやっていないと主張している場合に冤罪を防ぐためにどの程度証拠があるのか把握しづらくなったり,少年の将来を考えるうえで必要な情報まで把握できなくならないか心配もあります。

 

2種類の個人再生

個人再生には,小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。

小規模個人再生は,債権者の半分以上が反対しないことが条件となりますが,一般的にはこちらを選択する方が多いです。

給与所得者等再生は,債権者の賛成がいらない代わりに,可処分所得の2年分を上回る金額を返済しなければなりません。

可処分所得の2年分とは,収入から最低限の生活費や税金等を差し引いた残りの金額であり,収入が多い人や扶養家族の少ない人は,高額になるケースが多いです。

また,債権者が反対するケースは少ないので,債権者の半分以上が反対しないという要件を満たすことは,それほど困難でないケースの方が多いでしょう。

したがって,小規模個人再生を選択する方が多いのですが,しばしば反対する債権者もいるので,そのような債権者から多額を借り入れている方は,給与所得者等再生を選択することもあります。

二回試験の終了

二回試験は,司法試験に合格して司法修習という研修を受けた修習生が,弁護士・検察官・裁判官になるために必要な能力を身につけたかをみる試験です。

今年は,平成28年11月18日から始まって11月25日に終わったようです。

受験した皆さま,お疲れさまでした!

今年の合格発表は,12月13日で,これに合格すると,晴れて弁護士登録をすることができます。

 

花押を書いた自筆証書遺言

一般的に使われる遺言には,自筆証書遺言と公正証書遺言の2つがあります。

このうち,自筆証書遺言は,遺言をする方が,全文,日付,氏名を自書し,これに印を押さなければならないと定められています。

押印する代わりに花押を書いた場合,有効な遺言といえるか争われた事例がありました。

最高裁判所平成28年6月3日判決は,押印を要求した趣旨を,重要な文書については作成者が署名したうえその名下に押印することによって文書の作成を完結させるという日本の慣行や法意識に照らして,真意に基づいてその人が文書を作ったことの証としていると述べ,日本で,印鑑の代わりに花押を書くことによって文書を完成させる慣行や法意識が存在するとは認めがたいとして,有効な遺言とはいえないと結論づけました。

自ら作る遺言は,意外なところで有効と認められない危険があります。

遺言書の作成を検討していらっしゃる方は,一度,専門家に形式面でも内容面でも問題がないか確認されることをお勧めします。

岐阜地裁御嵩支部

image1.JPG

破産の債権者集会のため、岐阜地裁御嵩支部に行ってきました。
個人の方の破産では、裁判官が債権者集会で積極的に質問するのは珍しいですが、今日は裁判官自ら20分以上質問されていました。
帰りはのんびり周囲を観光してきました。

過払金返還請求のセミナー

「過払金返還請求の最新動向」というテーマで,証券会社の方向けのセミナーの講師をしました。

過払金返還請求は,ここ3年間程度でも少しずつ件数も金額も減っているものの,平成27年から平成28年にかけては,ほとんど変わらず推移しています。

大手貸金業者の中にも,新たに利息返還引当金を積み増している業者もいます。

平成22年以降に新たに契約した取引は,過払金が発生しないため,理論上は徐々に減っていくはずですが,急激に減ることはないと思われます。

そんな中,一部の業者が,過払金の返還時期を遅くするために訴訟を長引かせたり,少額の返還にこだわる傾向は,少しずつ強くなっているように感じます。

依頼者さんの要望に沿いつつ,徹底的に過払金の回収率を高める姿勢が弁護士に求められています。

 

刑事事件の判決言渡し

今日は,私が弁護人をしている刑事事件の判決の言い渡しがありました。

民事事件では,判決文は事務所に送付されるので,判決の期日には出席しないことの方が多いです。

一方,刑事事件の第一審の判決の言渡しは,弁護人は原則として立ち会わなければなりません。

判決文は,あえて交付申請等をしない限り送付されず,判決の結果や判決理由によって控訴するか検討しなければなりません。

公訴事実を認めている場合は,言渡しは5分程度で終わりますが,理由が分からなくならないよう,しっかりと記録しておく必要があります。

 

 

 

破産手続と養育費の扱い

養育費を支払う側が自己破産する場合,養育費を支払うべきか悩ましい場合があります。

まず,破産手続開始決定後に発生する養育費は,金額が不相当に高額でない限り,支払うことに問題はないと考えられています。

一方,破産手続開始決定前に発生した養育費を滞納している場合,養育費の支払義務は破産債権として,他の消費者金融や銀行からの借入と平等に取り扱わなければならず,破産手続中に支払うのは適切でないのが原則です。

しかし,破産手続開始決定前の養育費は,自己破産して免責決定を得たからといって,支払義務を免れる訳ではありません。

そうすると,破産手続開始決定前の養育費は,破産手続が終わった後に,分割等で支払わなければならないことになります。

弁護士に自己破産を依頼してから破産手続開始決定を得るまでの間の支払も,毎月発生する分を約束どおり払う場合は,金額が不相当に高額でない限り問題ありませんが,過去に滞納した養育費を上乗せして払う場合は,一部の債権者を優遇したとして破産手続で問題となると考えられます。

 

 

 

 

 

 

 

 

管財人は敵か

破産の申立てをして管財人がついたとき,依頼者さんから,管財人がどういう立場なのか質問を受けることがよくあります。

管財人は,破産法の建前上は,公平中立な第三者的立場です。

管財人は,裁判所が選び,債務者(破産する依頼者さん)と債権者(お金を貸した業者等)の利害を調整して適切に財産を分配し,財産を分配しても残っている借金を免除してよいか(「免責」といいます。)どうかに関しても意見を述べます。

ただ,依頼した弁護士は,依頼者さんの味方で,原則として依頼者さんの利益を代弁しますが,債権者の利益を代弁する人は,管財人以外にいないこともあるので,依頼者さんからすると,管財人は対立相手のように感じることもあるでしょう。

その考え方は,必ずしも間違いとはいえませんが,多くの場合,管財人は,正直に資料を提出して破産手続に協力した破産者には,免責しよう,借金をなくして立ち直りの機会を与えようと考えているものです。

破産する方が管財人に求められた資料を提出したり説明するのは,破産法の定める義務ですし,特に浪費が問題になっている場合等は,管財人の指示に従って協力することが,借金をなくして立ち直るために役立つことが多いです。

とはいえ,財産を残すことを希望しているが管財人が認めない場合や,一部の債権者にだけ返した行為が問題になっている場合は,管財人と違う見解を持つこともあるので,依頼した弁護士に気軽にご相談ください。